10月を迎えて、朝・晩はずいぶんと涼しくなってきました!
コロナワクチンの普及も進んで、九州では最も高い接種率を熊本県が維持しています。
しかし、熊本日日新聞によると以下のような報道もあっています。
9月時点で県が公表した新型コロナウイルスワクチンの12歳以上の県内市町村別接種率は小規模自治体ほど高く、熊本市近郊の中規模自治体で低い傾向だったこと。
(熊本日日新聞 | 2021年09月11日より引用)
県全体の年代別の2回目接種率は、10代が21・1%と最も低かった。と報じています。
また、市町村別の接種率は40~80%台とばらつきがあり、最も高かったのは五木村の88・9%、最も低かったのは菊陽町の43・9%。とした。
10代の接種が遅れて開始されたことや人口比率の問題なども関与しているとは予測されますが、菊陽町内で主に小学生を対象とした事業を運営している側としては、やっぱり気になる数字でした。
子どもたちも昨年からずっと続いている「感染予防対策」について、大人と同様にウンザリしているところもあるかもしれません。それでも、感染してしまえばやっぱり大変なことになりかねません。
コロナウィルスと変異株
オリンピック以降、猛威を振るっていた「デルタ株」が印象につよいですが「変異」とはどのようなことを言うのでしょうか。
ウイルスに限らず全ての生物で、遺伝子をコピーする過程で一部読み違えや組み換えが起こり、遺伝情報が一部変化することがあります。これを「突然変異」といいます。
この中で、新しい性質をもった子孫ができることがあります。
この子孫のことを「変異株」といいます。
性質が違うだけで同じウイルスのバリエーションに過ぎないので、ウイルスの名称を変えずに呼称されます。(ちなみに変異「種」というと、全く新しい生物ということになるので誤りです。日本感染症学会でも注意喚起しています)
新型コロナウイルス変異株はギリシャ文字「α(アルファ)・β(ベータ)・γ(ガンマ)・Δ(デルタ)…」と順に名称がつけられています。
デルタ株はオリンピック前に、インドから世界中に広がっており、2021年5月11日にはWHOが「注視すべき変異」と位置付けていました。
従来の新型コロナの2倍以上の感染力があることが確認されました。
デルタ株を他の感染症と比較すると、季節性インフルエンザや一般的な「かぜ」よりも感染力は強く、空気感染する水痘と同等レベルの可能性があり、より一層の感染対策が必要といえるでしょう。
確定ではないものの「空気感染する」という前提で私たちも身構えていくしかないのでしょう。
デルタ株以降は、ワクチンを接種していても感染を起こす「ブレイクスルー感染」にも着目していかなければならないでしょう。
ワクチン先進国のイスラエルの報告によれば、3回目のワクチン接種を行っても感染はおきるとされています。(※重症化しにくいという利点は大きい)
子どもが感染するとどうなるの?
今回は、子どもを対象とした記事ですので、子どもたちが感染した報告例などから要約して考えてみたいと思います。
もともと、新型コロナウィルスが注目を集め始めた頃の報道では、「成人にのみ感染しやすく子どもには感染しにくい。」との報道があっていました。
ところが2021年の7月、夏休みに入ったころから10代の感染者が増加しはじめ、8月に入ると急に10歳以下の感染者が増加しました。
これらの要因に「デルタ株」を中心とする変異ウイルスが関与しているとかんがえられます。
ただ、小児が感染しても軽症や無症状が多いようです。
罹患者のうち約1%が入院が必要で、0.01%が残念ながら亡くなっているとのこと。
数字としては、成人と比べ重症化・死亡率の割合は低いともいえますが、わが子が0.01%に当てはまらないとも言えません。
重症化しにくいなら安心?
重症化しにくいなら、大袈裟に身構えなくても…と、考えがちですがここからが本題です!
新型コロナウィルスの怖さは感染力や症状だけではなく、たとえ無症状であっても感染後の「後遺症」がとても心配💦
今年の7月、日本経済新聞では以下のような記事が掲載されていました。
オーストラリアの研究者が新型コロナ陽性となった171人の幼児(中央値は3歳)を追跡調査したところ、8%が2カ月後まで主に咳や疲労感などの後遺症の症状を示していたことがわかった。ただしこの研究では、6カ月後までには全員が回復していた。
医学誌「The Lancet Child & Adolescent Health」,4月20日
海外のデータなので、日本とは少し異なるとしても無症状のケースが多い子どもでも、半年近く後遺症を生じる可能性があるということになります。
次に厚労省が公表している我が国におけるデータを参照してみましょう。
昨年度の発生当初に後遺症とされた主な症状
倦怠感、筋肉や関節の痛み、頭痛、不眠、呼吸障害、動悸など
現在(今年度)の後遺症症状
胃腸障害、吐き気、めまい、発作、幻覚、陰嚢痛など、100種類以上ともいわれ、なかには脱毛症などもみられる
具体的な例として・・・
「感染から3カ月がたっても、まだ常に胸が痛い」
「(実際にはない匂いを感じ取る)異嗅症を発症した」
「感染から6カ月たっても糞便などのイヤな匂いしか分からない」
成人と同じように強い倦怠感や嗅覚異常の問題が小児域にもみられるということのようです。
毎朝飲んでいる「味噌汁」も、ただのお湯になってしまうんだとか…。
食事の楽しさを奪われ、毛髪が抜け落ちる…なんてことがあれば、精神的に参っちゃいますよね。
これらの症状は、いつまで続くのか誰にもわからず、そもそも改善するのかもあやふやで海外ではロングコービット(long COVID)と称されています。

小児域で最も多い後遺症とは
ブレインフォグ(脳の霧:思考力や集中力の低下など)と倦怠感
これらの症状が出るのは、脳の炎症が原因とされています。
脳の血液脳関門にも炎症が起きると「うつ病」も発症しやすい。
1年間に感染した子ども510人について調査した結果では、入院した子どもはわずか4.3%だった。
ただ、このうち94.9%の子どもたちに、少なくとも4つの症状が続いていたといいます。
その期間は、平均8.2カ月。
報告された症状は身体的な症状のほか、集中力の欠如や短期記憶障害などだったということです。
小児多系統炎症性症候群(MIS-C)
小児特有の新型コロナウイルス感染後の後遺症の病気で全身の様々な臓器が炎症を起こす病気。
特徴としては心臓の機能の低下、発疹、嘔吐・下痢などがあります。
新型コロナウイルスの感染自体は無症状や軽症でも、数週間後に起こる現象
重症化すると、人によってはエクモ(人工肺)が必要となります。

感染後の治療
現在、都心部などでは「新型コロナ回復クリニック」などが設けられているそうです。
ですが、実際には診察を受けても、治療はほとんど提供されない。というのが「現実」なんだとか。
治療者側にとっても「治療法がない」という「もどかしさ」との持久戦だと報じられています。
とある有名な先生は、患児保護者へ『皆が森の中で迷っているような状況です』と説明してるそうです。
つい先日、英イースト・アングリア大学(UEA)の研究機関が、新型コロナウイルスやその他のウイルス感染症の患者に多くみられる症状の一つ、嗅覚の喪失(または変化)の治療に効果があると期待されるビタミンAの効果について調べ、UEAによると、ビタミンAはドイツで行われた研究で、嗅覚喪失の治療に「効果がある可能性」が示されているという。
…ウィルスの変異と人間の知恵との長い対決になるのでしょうか。
どのみち私たち大人が自分自身をまもり、子どもに感染させないように注意していくことが最も大切です。手洗い・うがい、気長に続けましょう!
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